
寝坊してしまった。 完全に遅刻だ。 宿題もやってない。 また廊下に立たされる。 朝から気分が落ち込む。 空模様まで暗かった。 (学校なんか消えちゃえ!) 心から願った。 重い足どりで登校する。 だが、学校はなかった。 校門も校庭も校舎もない。 教師や生徒たちはいた。 「どうしたの?」 「学校が消えちゃった」 遅刻どころではない。 宿題なんか関係ない。 願いがかなったのだ。 家に帰ることにした。 すると、急に雨が降ってきた。 傘なんか持ってない。 (雨なんか消えちゃえ!) 冗談のつもりだった。 すぐに雨はやんだ。 自分の能力がおそろしい。 なにかを消すことができる。 しかし、それだけ。 もとに戻せない。 あとでニュースで知った。 世界中の学校が消えたことを。 あれから雨は降っていない。 地球上のどこにも。 大変だ。 どうすればいいんだ。 わからない。 わかるはずがない。 (ああ。めんどうくさいことは みんな消えちゃえ!)

