壁に張り付いた時間は古いポスターのように剥がれかけている 足元には乾いた絵の具のかけら それは私の昨日の残骸 けれど指先は炎のように熱く動く 誰にも聞こえない悲鳴を隠すように 筆先が紙を傷つける音だけが響く 線と色は滲んで不完全な地図になる だけどその迷路の奥に確かに燃えるものがある 余った紅茶は錆びた涙みたいに渋い 影の黒が伸び 私は飲み込まれる 剥がれた絵の具は降り積もる粉雪 その上を歩く足音は叫び声のよう 空腹も寒さも この絵の具の渦に溶けていく この世界で唯一無二の嵐を描く それが誰の目にも映らなくても 私はその嵐の中心で燃え尽きるだけ 窓の外の朝焼けは冷たく輝くガラスの刃 その光に裂かれながらも 私のキャンバスにはまだ空白が待つ 絵の具の滲みが手を汚す度に 私自身が絵になっていく