
夜の底で 火がひとつ 吸って 吐いて それで終わり 硝煙の匂いが残るうちに 次の夜まで 帰るだけ 街灯の下 転がる薬莢 拾うほどの理由もねえ 終わりだ 悪く思うなよ 正義なんて柄じゃない 牙も 爪も 望んで生まれたわけじゃない そんなことくらい知ってるさ それでも止めなきゃ 誰かが死ぬ 一発 静かに 火を点ける 赤い先端 明滅して 慣れるもんだと 思ってたんだけどな まあ どうでもいいか 篝火みたいな 小さな火を咥えて 紫煙が夜を撫でていく 理由? 誰かがやらなきゃ 終わらねえだろ こういうのは 恨みもない 誇りもしない 引き金ひとつ それでいい 燃え尽きたなら また火を点ける 今夜も煙が美味いだけ 帰れば冷蔵庫は 酒と調味料くらい 灰皿はそろそろ限界 だから何だって話だな ひとりなら 散らかしたって誰も困らない 腹が減ったら何か食う 眠くなったら寝る それで足りる なのに今夜 紫煙の向こうに 見慣れない影がひとつ おまえさん なんでまだいるんだ 面倒事なら 勘弁してくれ そう言いながら 火を消せずにいる 別に何も 考えてねえよ 煙草が美味いだけだ 篝火みたいな 小さな火を咥えて 紫煙の向こう 夜は続く 獣も人も 傷つく前に 終わらせるのが俺の仕事 救ったなんて 言う気はない 救えなかったとも言いたくない 銃口を下げ 煙を吐いて 朝が来るまで それでいい また一本 増えたところで 数える奴もいないだろ 焦げた匂いも 銃声も いつか服から消えていく 消えないものがあるなんて そんな面倒な話は おじさんには 似合わねえよ 篝火みたいな 小さな火を咥えて 紫煙が夜明けへ溶けていく 理由? 誰かがやらなきゃ 終わらねえだろ こういうのは 背負ってない 捨ててもいない 今日までそうして来ただけ 火が消えたなら また火を点ける 明日もたぶん 同じだろ ……で おまえさんは何だ? 俺に何か用があるなら 聞くけどさ 面倒事じゃないと いいな

