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井戸寺(いどじ) ー 映らない日も、ここにいる

【A Face Without a Face】 (歌のないメインメロディー) 水面(みなも)に 旋律(せんりつ)だけが映(うつ)る 声(こえ)はない 名前(なまえ)もない まだ誰(だれ)の歌(うた)なのか 分(わ)からない 【Reflection One:妙照寺(みょうしょうじ)】 白鳳二年(はくほうにねん) 天武天皇(てんむてんのう)の 勅願道場(ちょくがんどうじょう) 井戸寺(いどじ)の最初(さいしょ)の名前(なまえ)は 妙照寺(みょうしょうじ) 八町四方(はっちょうしほう)の 広(ひろ)い境内(けいだい) 七堂伽藍(しちどうがらん) 十二坊(じゅうにぼう)の末寺(まつじ) 現在(いま)の景色(けしき)からは 見(み)えない大(おお)きな寺(てら) けれど 見(み)えないからといって なかったことには ならない 【Hidden Fragment One】 映(うつ)らない日(ひ)も 【Reflection Two:Seven Healers】 本尊(ほんぞん)は 七仏薬師如来(しちぶつやくしにょらい) 薬師瑠璃光如来(やくしるりこうにょらい)を中心(ちゅうしん)に 並(なら)ぶ七体(ななたい)の仏(ほとけ) 病(やまい)だけではなく 心(こころ)の迷(まよ)いも 少(すこ)しずつ 癒(いや)すと信(しん)じられてきた 時代(じだい)の火災(かさい)で 六体(ろくたい)が失(うしな)われ 現在(いま)は 残(のこ)った一体(いったい)と 再(ふたた)びつくられた六体(ろくたい)が 同(おな)じ場所(ばしょ)に座(すわ)る 最初(さいしょ)からあったもの あとから 戻(もど)ってきたもの どちらも 現在(いま)の七体(ななたい) 【Hidden Fragment Two】 ここにいる 【Reflection Three:Clouded Water】 弘仁六年(こうにんろくねん) 弘法大師(こうぼうだいし)が この地(ち)を訪(おとず)れた 村(むら)の人々(ひとびと)は 水不足(みずぶそく)に苦(くる)しみ ようやく手(て)にした水(みず)も 濁(にご)っていたという 飲(の)むための水(みず) 料理(りょうり)をする水(みず) 身体(からだ)を洗(あら)う水(みず) 一日(いちにち)を生(い)きるために 欠(か)かせない水(みず) Voice One: 水(みず)がなければ 明日(あした)を始(はじ)められない Voice Two: 濁(にご)った水面(みなも)にも 空(そら)は映(うつ)ろうとしている 【Hidden Fragment Three】 水面(みなも)が揺(ゆ)れても 【Reflection Four:One Night】 弘法大師(こうぼうだいし)は 錫杖(しゃくじょう)を手(て)に取り 地面(じめん)を掘(ほ)ったと伝(つた)わる 一度(いちど) また一度(いちど) 硬(かた)い土(つち) 深(ふか)い闇(やみ) まだ水(みず)は見(み)えない それでも 掘(ほ)る手(て)を止(と)めない 一夜(いちや)が明(あ)けるころ 地面(じめん)の奥(おく)から 清水(しみず)が湧(わ)き出(だ)したという 村(むら)は 井戸村(いどむら) 寺(てら)は 井戸寺(いどじ) 水(みず)が 新(あたら)しい名前(なまえ)を運(はこ)んできた 【Hidden Fragment Four】 名前(なまえ)は消(き)えない 【Well Descent】 (水を入れたグラスの音) 一段(いちだん) 深(ふか)く もう一段(いちだん) 暗(くら)く 地上(ちじょう)の音(おと)が 遠(とお)くなる 井戸(いど)の底(そこ)に 小(ちい)さな空(そら) 丸(まる)く切(き)り取(と)られた 青(あお)い光(ひかり) 【Reflection Five:面影(おもかげ)】 面影(おもかげ)の井戸(いど) 水面(みなも)を そっと覗(のぞ)く 伝承(でんしょう)では 自分(じぶん)の姿(すがた)が映(うつ)れば 無病息災(むびょうそくさい) 映(うつ)らなければ これからの厄災(やくさい)に注意(ちゅうい)するという 雲(くも)が横切(よこぎ)る 風(かぜ)が水(みず)を揺(ゆ)らす 光(ひかり)の角度(かくど)が変(か)わる さっきまで見(み)えていた顔(かお)が 一瞬(いっしゅん)で消(き)える でも 水面(みなも)に映(うつ)らなくても 井戸(いど)の前(まえ)に立(た)っている あなたまで 消(き)えたわけじゃない 【Hidden Fragment Five】 見失(みうしな)う夜(よる)も 【Reflection Six:日限大師(ひかぎりだいし)】 日限大師(ひかぎりだいし) 水大師(みずだいし)とも呼(よ)ばれる 石(いし)の大師像(だいしぞう) 五日(いつか) 七日(なのか) 日数(にっすう)を決(き)めて 毎日(まいにち)祈(いの)る 願(ねが)いを 一度(いちど)だけ叫(さけ)ぶのではなく 昨日(きのう)も 今日(きょう)も 同(おな)じ場所(ばしょ)へ来(く)る 叶(かな)う日(ひ)を 決(き)めつけるためではなく 自分(じぶん)が諦(あきら)めない日(ひ)を 一日(いちにち)ずつ増(ふ)やすため 【Hidden Fragment Six】 息(いき)をしている 【Reflection Seven:No Reflection】 今日(きょう)は 自分(じぶん)が分(わ)からない 何(なに)が好(す)きだったのか どこへ行(い)きたかったのか 誰(だれ)の期待(きたい)に 応(こた)えようとしていたのか 鏡(かがみ)を見(み)ても 知(し)らない人(ひと)みたい 心(こころ)の井戸(いど)を覗(のぞ)いても 何(なに)も映(うつ)らない そんな日(ひ)は 答(こた)えを急(いそ)がなくていい 見(み)つからない自分(じぶん)を 責(せ)めなくていい 水(みず)が静(しず)かになるまで その場所(ばしょ)で待(ま)っていていい 【Hidden Fragment Seven】 私(わたし)は 私(わたし)を待(ま)っている 【The Complete Reflection】 (七つの断片が一つになる) 映(うつ)らない日(ひ)も ここにいる 水面(みなも)が揺(ゆ)れても 名前(なまえ)は消(き)えない 見失(みうしな)う夜(よる)も 息(いき)をしている 私(わたし)は 私(わたし)を待(ま)っている 井戸(いど)の底(そこ)から 空(そら)を見上(みあ)げる 世界(せかい)は 丸(まる)く小(ちい)さく見(み)えても その向(む)こうには どこまでも青(あお)が続(つづ)いている 映(うつ)らない日(ひ)も ここにいる! 【Water Rising】 (明るいサーフギター) 汲(く)み上(あ)げた水(みず)が 光(ひかり)を散(ち)らす ひとしずく またひとしずく 村(むら)の暮(く)らしへ 流(なが)れていく 井戸寺(いどじ) 誰(だれ)かが水(みず)を必要(ひつよう)とした 誰(だれ)かが地面(じめん)を掘(ほ)った 誰(だれ)かが 清水(しみず)を分(わ)け合(あ)った 水面(みなも)に映(うつ)る顔(かお)より 水(みず)を待(ま)っている人(ひと)へ 差(さ)し出(だ)した手(て)のほうが その人(ひと)の姿(すがた)を よく映(うつ)すこともある 【Seven Ripples Outro】 第一(だいいち)の波紋(はもん) 身体(からだ)をいたわる 第二(だいに)の波紋(はもん) 心(こころ)を休(やす)める 第三(だいさん)の波紋(はもん) 誰(だれ)かを頼(たよ)る 第四(だいよん)の波紋(はもん) 誰(だれ)かを助(たす)ける 第五(だいご)の波紋(はもん) 分(わ)からないと認(みと)める 第六(だいろく)の波紋(はもん) もう一度(いちど)始(はじ)める 第七(だいなな)の波紋(はもん) ここにいる (下降するギターハーモニクス) (水しぶきのようなシンバル)