
冷えたカフェの隅 液晶を滑る指先 青い画面の旅行サイト 視線は彼へと向かう 「ねえお願いしてもいい」 その言葉で未来を預けた 条件は一つだけ 水平線が見える場所 「海が見えるところがいいな」 呟きが氷に弾ける Only looking for the blue 白紙のチケットを ただ握りしめて進む スピードを上げる車窓 夏の強い日差しが ダッシュボードに強く反射する 加速する速度に体を預けた フロントガラスの向こう 雨の日の傘の思い出が浮かぶ 二人歩いたスニーカーの音 濡れた肩を寄せるビニール傘 あの確かな記憶があるから 行き先を知らないままでいい サイドミラーに映る 遠ざかる街の文字 答えを知らない旅が 潮の匂いを乗せて走る Heading to the unknown shore レンタカーのシートから ホテルの大きなフロントへ 積み重なった日々の全てが 臆病な心の鍵を外させる もう迷う必要はないと 手荷物をそっと預けている 白い建物の前に立ち 見上げる窓の高さ 鍵を受け取る指先 確かな現実が近づく 長い準備の終わりを 予感するように頷いた 薄暗い廊下の奥 カチリと回る金属の音 重い木製のドアが 内側へと押し開かれる 視界の全てが一瞬で 鮮やかな青へと切り替わる ドアを開けた瞬間に 「最高! ありがとう。」 カバンを床へ落とし 弾けた声が響き渡る Now our summer has begun 広がる夏の景色が 全てを明るく変える 用意された優しさに ただ身を浸している 思い描いた以上の世界に 今はもう何も構わない 窓から射し込む強い光 白く眩しい床の上で 終わらない季節の始まりを 静かに受け入れている

