
かじかんだ指に 湯気が触れて 痛い 「平気?」のひとことが 胸のどこかで 鳴った コップの水に落ちた 輪っかが消えるまで 目をそらせずにいた なにも言えないまま あたたかいほど 指先は痛むのに ほどけるたび また 失くしそうで やさしさがこわい (こわいのに ほしい) 「だいじょうぶ」の手前で 息を止めている やさしさがこわい (ほしいのに こわい) 差し出された灯りを 見つめたまま 笑った顔の下を なぞって 疲れてしまう 名前を呼ばれるたび 影が半歩 遅れてくる 借りものの傘みたいに やさしさは 肩に重い 濡れないはずの場所で うまく 立てずにいる 期待されるたび 呼吸が浅くなる 受けとったぶんだけ 返せない気がして やさしさがこわい (こわいのに ほしい) 「だいじょうぶ」の手前で 息を止めている やさしさがこわい (ほしいのに こわい) 差し出された灯りを 見つめたまま 雨の音みたいに 急かさない手なら 話さなくていい となりにいるだけなら かじかんだ指が ゆっくり ほどけてゆく 痛みのあとに ぬくもりが 来るなら やさしさがこわい (ほしい…) 「だいじょうぶ」の手前で 息を止めている やさしさがこわい (ほしい…) 差し出された灯りに 指先を かざす

