閉店前の光が ガラスの縁を長く這う 看板の陰 止まった口元 俺の足だけ止まらない 肩の角度 ほどける指 客に向ける顔じゃない 視線が触れた その瞬間 ひとこと残して線を切る 慌てていない その切り方 だから余計に耳へ残る 声を切ったのは誰のためだ 問いは喉まで来て引き返す 歩調を変えず通り過ぎる 俺は振り返らない 誰だ 何を隠した なぜ今 なぜ俺を見た 証言もない 裁くには早い 火種だけが胸を叩く 切れた声の続き Tell me the rest 頭の中で勝手に鳴るな 切れた声の続き Tell me the rest 疑う俺を先に黙らせろ 声を荒らすな まだ燃やすな 足りない欠片で裁くな 聞こえないままで 俺の中だけを掻き乱す 棚の奥に残された 名もない人形を覚えている 由来がわかるその日まで 糸にも箱にも触れなかった あの慎重さと今日の仕草 同じ手の中で並ばない 仕入れか昔の用件か 浮かぶ順から捨てていく 根拠のない仮説ばかり ノイズの群れが列を作る 迂闊に踏み込めば 俺も同じ穴へ落ちる 帰り道 財布を開く 折れたレシート 指で揃える 金額も店名もどうでもいい 蘇るのは声の終わらせ方 慣れた手つき 迷いのなさ 初めてじゃないのか Not enough 切れた声の続き Tell me the rest 喉を裂くほど知りたくなる 切れた声の続き Tell me the rest だがその先を俺が作るな 慌てていない切り方 記憶の底へまだ沈まない 材料が足りない まだ燃やすな 今は判決を下すな 届かないなら 届かないままで置いていけ 歩調は変えない 視線も戻さない 今はまだ それだけの話だ


