
[Spoken - Young Male Narrator Only] ...あの、近所に公園ってありません? うちの近くにも小さな公園があるんですよ。 昼間は普通に子どもが遊んでたり、犬を散歩させてたり……平和なもんなんですけどね。 夜、通ったこと、あります? この間、帰りが遅くなって、雨上がりに通ったんですよ。 そしたら、公園のブランコがひとつだけ、揺れてて……。 風のせいかなって思ったけど、その日は全然、風なんてなかったんですよね。 それでふと、横のベンチを見たら、絵本が置いてあったんです。 雨が降った直後で、ベンチも水浸しだったのに、その絵本だけは、全然濡れてないんですよ。 気になっちゃって、つい、見ちゃったんですけど…… 子どもの落書きみたいな文字で、うたが、書いてあって。 そのページの隅に、小さく名前が書いてあったんです。「ゆうこ」って。 [Child Lullaby - Young Girl Voice] ぶ〜らん ぶ〜らん ひとりぶらんこ よ〜るは さ〜むい みんなかえった ぶ〜らん ぶ〜らん ひとりぶらんこ あなただけ まだ かえらない [Spoken - Young Male Narrator Only] 翌日から、そのうたが、あたまから、離れなくなって…… 気になってまた見に行ったんです、公園に。 またベンチに、絵本が置いてあって。 ページは同じ。けど名前が増えてたんです。 「ゆうこ」の下に「けんた」。その次の日には「みさき」。 名前が増えるたびに、その夜、ブランコの近くに小さい影が現れて…… その影と一緒に、誰かが消えるのを、私は見てしまったんです。 [Child Lullaby - Young Girl Voice] ぶぅ〜らぁん ぶぅ〜らぁん ひとぉりぃぶらぁんこぉ よぉ〜るぅはぁ さぁ〜むぃぃ みんなかぁえったぁ ぶぅ〜らぁん ぶぅ〜らぁん ひとぉりぃぶらぁんこぉ あなただぁけぇ まだ かえらなぁい [Spoken - Young Male Narrator Only] このうたが耳から離れなくなった人は、夜になると公園に呼ばれるんです。 名前を書かれてしまった人は、あの子たちと、一緒に、どこかへ連れて、行かれてしまう。 帰って来ないんです。絶対に。 私も怖くなって、なんとか止めようとして、また絵本を、開いたんですけど…… そこで、見つけてしまったんです。 ……これ、今あなたに話していいのか、本当に迷ったんですけど……。 [Child Lullaby - Young Girl Voice] ぶぅぅらぁぁん ぶらんこぉぉぉぉ よぉぉるぅぅはぁぁ さぁぁむぅぅぃぃぃ みぃ〜んなぁぁかぁぇったぁぁ あぁなぁただぁけぇ まだ かえらなぁぁぃぃぃ [Spoken - Young Male Narrator Only] 絵本に、書いてあったんですよ。 あなたのなまえ。 昨日、私が見た時には、まだ、なかったのに……。 今晩、もし、夜中に公園の前を通ることがあったら、 絶対にベンチを見ちゃダメですよ。 たとえあなたの、名前が書かれたとしても、絵本を開いちゃダメです。 あ、それと……風、吹いてないのにブランコが揺れてたら…… 気をつけてくださいね。 ……うたは、覚えていないですよね?

