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信一郎さん: 雨上がりの庭

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V6

これは、雨上がりの庭を歩く話です。 朝の縁側に、まだ小さな水滴が残っている。 竹の葉から落ちた雫が、石の上でひとつだけ音を立てる。 急がなくていい。 今日は、遠くまで行かなくていい。 濡れた土の匂い。 古い鉢の縁にたまった水。 開けたままの窓から入る、少し冷たい風。 見落としていたものは、いつも大きな姿をしているとは限らない。 庭の隅の新しい芽や、昨日はなかった鳥の足跡。 そういう小さな変化が、時間の進み方を教えてくれる。 私たちは、先のことを考えながら、今いる場所を通り過ぎてしまう。 けれど、立ち止まれば、同じ景色にも別の表情がある。 雨はもう止んでいる。 空はまだ白い。 それでも、庭の一日は、静かに始まっている。 私たちも、ひと息ついてから、ゆっくり歩き出せばいい。