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ホラーハウスへようこそ!|お題:ニーナさん

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V6

金曜日の午後七時 遊園地の閉園間際 ニーナさんが指さしたのは ホラー映画の宣伝ポスター 「こういうの大好きなんだよね」 嬉しそうに笑ってる じゃあ本物を見に行こうよ 僕が指さす黒い館 さっきの笑顔が消えました ものすごい速さで消えました 「見るのと入るのは別問題!」 ごもっともです でも遅い! ホラーハウスへようこそ! 入口までは元気だった 三メートルで足が止まり 五メートルで事件発生! 白いお化けが顔を出す ニーナさんの悲鳴が突き刺さる 驚いたお化けも叫び出す いったい誰が怖がらせる側!? 僕は一応エスコート役 頼れる男のつもりです 「大丈夫、僕がついてるよ」 言った直後に床が鳴る ギシッ! 僕がニーナさんの後ろへ隠れ ニーナさんは僕の後ろへ隠れ 二人でぐるぐる回っていたら ミイラに道を譲られた 壁から伸びる白い手が 僕の肩をトントン叩く 振り向く勇気が出なくって 「今ちょっと忙しいです!」 ホラーハウスへようこそ! 歓迎されても困ります! ゾンビが丁寧にお辞儀して 「出口はこちら」と案内する だけどニーナさん気づいちゃった あのゾンビ さっきも見たよね? まさか僕らは同じ場所を 三周してるんじゃないですか!? 突然館内放送が 「本日の営業は終了です」 待って! まだ二人いるんです! 電気だけは消さないで! 暗闇の中で小さな声 ニーナさんが僕に言いました 「いおり、もう絶対誘わないで」 はい 心から反省してます その時どこかで泣き声が しくしく しくしく 聞こえてくる 勇気を出して覗いてみたら さっきの白いお化けでした 「僕、怖がらせるの下手ですか?」 まさかのお化けが落ち込んでる ニーナさんは少し考えて 「いや、怖すぎたから逃げたの!」 お化けは嬉しくなっちゃって 「じゃあもう一回いきますね!」 「それだけはやめてぇぇぇ!!」 僕らの声が夜空に響く ホラーハウスへようこそ! もう二度と来ないと誓います! なのに出口の記念写真 二人とも最高の変顔です 怖かったけど笑っちゃった 泣きそうなのに笑っちゃった こんな夜も悪くないねと 僕が言ったら睨まれた やっと見つけた出口のドア ニーナさんが先に飛び出した 僕も続いて外に出る ああ 生きててよかったな だけどニーナさん 振り返り 僕の背中をじっと見る 「ねえ、いおり……ひとつ聞いていい?」 「その肩の白い手、誰の?」 ……え? 背後から優しい声がした 「お忘れ物ですよ」 振り向いたら あのお化け 手には僕らの記念写真 そして裏には赤い文字 「次回のご来館をお待ちしております」 ニーナさんが走り出す 僕も全力で追いかける ねえニーナさん! 次はホラー映画にしよう! ……お家でね。