Song Cover Image

剥がれていく世界【装甲戦士ガルド20】

V5.5

【Intro】 【Verse 1】 踏み出すたびに何かが消える 体が軽くなっていく 速くなるほど遠くなる 俺という形 届いたはずと思ったのに 何も残さずほどけていく 押しつぶされるこの間で 目だけはそらさない 【Pre-Chorus】 崩れていくのは世界か それとも俺なのか 【Chorus】 剥がれていくこの感覚 心が遠くなる それでもまだ消えてない ここで終わるわけにはいかないと 体が叫んでいる 【Verse 2】 見えすぎるほどすべてが分かる 音さえ遅く感じる それなのに何も響かない まだ足りないのか 痛みが消えて 迷いも消える それで強くなれるなら それでいいのか 【Pre-Chorus】 削れていくほど強くなる それでも届かない 【Chorus】 壊れていくこの輪郭 それでも踏み込んでいく 届かないと分かっても 止まる理由じゃない 限りなんて越えている そんな感覚で すべてをかけて前へ進め 【Bridge】 遠くなる俺の感覚 それでも残る想い 何を失ってもいいと 言えないまま それでも 進め 【Final Chorus】 剥がれていくこの世界で それでも立っている 消えそうなこの意思が まだ燃えている 守りたいそれだけが ここに残ってる 何を失ってもいいのか それでも 前へ 【End】 【Episode Story】 【第20話・剥がれていく世界】 炎の中。衝突の余波が、まだ空間に残っている。ガルドが立っている。その装甲が、わずかに軋む。呼吸が荒い。目の前にはオルディアの王が立っている。傷一つない。 「……まだだね」静かな声。 次の瞬間。見えない衝撃。主人公の体が弾き飛ばされる。轟音。瓦礫が崩れる。 「ぐっ……!」 崩れた壁の中から、ゆっくりと立ち上がる。だが―― (……通じてない……) 拳が震える。 (やっぱり、今のままでは通じないのは分かっていた……) 視線の先。王が、楽しそうに見ている。 「いいね、まだ壊れない」少し首を傾げる。 「とっても楽しいよ」一歩、近づく。 「でもさ」 笑う。 「まだ、力を使うのをためらっているでしょ」 沈黙。胸の奥――あの声が蘇る。 『……僕の力を使えば、あなたは人間ではいられなくなるかもしれない』 『僕の力をあなたに託します』 そして、視界の端に浮かぶ。幼馴染の顔。 『……絶対、帰ってきて』 息が詰まる。 (……帰る……?このままで……?) 手が、わずかに震える。 (この力を使ったら――、俺は……) 一瞬。恐怖が、胸を掠める。自分が自分でなくなるその感覚。だが―― 王の笑みが、視界に入る。街の炎。崩れる建物。逃げ惑う人々。 (……守るってきめただろ!) 歯を食いしばる。 (だったら――!) 目を閉じる。そして、開く。 「――使う」低く、確かに。 次の瞬間――胸のリアクターが脈打つ。青い光が、装甲の内側から、何かが溢れる。 装甲のラインがわずかに変質する。呼吸が重くなる。 (……これは……) 鼓動が変わる。音が変わる。周囲の情報が流れ込む。生体反応。温度。振動。距離。 (……この感覚なんだ……全部、分かる……) 視界が広がる。 だが同時に――何かが、遠のく。恐怖。ためらい。「痛み」の意味。 (……感じない……?) 違和感。 (……違う、これは……削れてる?……) 『人としての何か』が、静かに剥がれていく。 皮膚の奥がざわつく。血の流れが変わる。装甲の下、自分の体が別の何かに『変質』していっているのを感じる。 (……俺は……まだ……人間か……?) 王の目が細くなる。 「……ああ」嬉しそうに。 「いいね、それ」 主人公が踏み込む。地面が砕ける。これまでとは明らかに速度もパワーも違う。 (いける!) ガルドの拳が振り抜かれる。 今度は――王の身体に触れる!衝撃!空気が爆ぜる!一瞬、王の体が揺れる。 だが!その口元が歪む。 「そう、それだよ!」 楽しそうに。次の瞬間。王の拳が振るわれる。――触れた瞬間。これまでにない衝撃!主人公の体が吹き飛ぶ。壁を貫く。地面に叩きつけられる。装甲が軋む。 「……っ!」 (……そんな……この力を使っても……) 胸の奥が、冷える。王が歩いてくる。ゆっくりと。 「今のすごいよ!ちゃんと『こっち側』に来てる。うん、けっこう痛かったよ」 一歩。 「でもさ」 笑う。 「まだ中途半端だね」 視線を向ける。 「人間にも、オルディアにもどっちにもなりきれてない」 一拍。 「だから弱い」 主人公の呼吸が荒くなる。だが、その目は逸らさない。王は続ける。 「ぼくはね」軽く言う。 「ずっと見てきた」空気が静かに震える。 「この星が生まれてから、ずっと、ただ、眺めてた」 王が遠くを見つめる。 「いろんな生き物が現れては消えて、勝手に進化して、勝手に滅びていくのを」 少しだけ笑う。 「でも、人間だけは違った」 視線が鋭くなる。 「感情っていう、不完全なシステムに振り回されて、争って、壊して、それでも生きようとして…」 首を傾げる。 「とても滑稽でさ…」そして、にやりと笑う。 「だから、思ったんだ」 一拍。 「壊したら、もっと面白いんじゃないかって」空気が震える。 手を上げる。青白い光が集まる。雷のようなエネルギー。空間が裂ける。 「この星も全部、最初から、ぼくのものだった」 視線が落ちる。 「だったらさ、この星のものは、僕がどう使ってもいいでしょ?」 エネルギーがさらに膨張していく。雷鳴。 「弱いものが必死に抗って、強くなったつもりになって、それでも届かなくて、最後には絶望に砕ける瞬間…」 微笑む。 「最高に綺麗なんだよ」 主人公が構える。だが――足が動かない。体が、重い。 (……動け……!動け……!まだ終われないんだ……!なんで動けないんだ…!) 王が腕を振り下ろす。 「ほら」楽しそうに。 「君も壊してあげる」 一拍 「ああ、でも大丈夫だよ。」 笑顔になる。 「君が倒れた後は、君も君の中にいる僕の弟も一緒に取り込んで、僕の中でこの星が壊れていく様子を特等席で見せてあげるね。」 雷撃が解き放たれる。暴力的な光。すべてを飲み込む。主人公の目が見開く。 (まだ……まだ……!終われないんだ……!) 光が迫る。世界が白く染まる。 その白の奥で――夜空にひとつの星が、瞬いたのを感じた。