さかさま さかさま クラゲ クラゲ ゆらゆら ゆらゆら 静かに 静かに 月曜日のクラゲは 電柱に引っ掛かったまま 青信号だけを食べて 透明な骨を伸ばしている 僕は昨日の抜け殻を コンビニの傘立てに忘れた 誰も気付かないから たぶんまだ僕なんだろう まだ僕 まだ僕 たぶんまだ たぶんまだ クラゲ クラゲ 透明なまま 交差点で溶けた夕焼けを ポケットに詰め込み過ぎて 歩くたび赤い砂が 靴の中で鳴いている 空き缶の神様が 自販機の裏で眠っていて 叶わなかった願いだけ 丁寧に回収していた ねぇ 寂しいって言葉は どこの売店で売ってますか いつから僕ら 痛みの名前だけ 覚えるようになったんだろう さかさま さかさま 観覧車 観覧車 くらげ くらげ ゆらゆら ゆらゆら 落ちてる 昇ってる わからない わからない 逆さまの観覧車で 海月みたいに揺れている 落ちているのか 昇っているのか 誰にも分からないまま 世界は綺麗な顔で ゆっくり壊れていく だから僕は 花火になれない星屑を 集めて歌っている さかさま さかさま ゆらゆら ゆらゆら 星屑 星屑 歌っている 歌っている 夜になると駅前の銅像が 少しだけ泣くことを知っている 誰にも聞こえないように 錆びた音で泣いている 僕らはそれを見て見ぬふりで 「今日も平和だね」と笑う 本当に怖いものほど 景色に馴染むから 今日も平和だね 平和だね 錆びた音 錆びた音 聞こえない 聞こえない 馴染むから 馴染むから 冷蔵庫の光の中で 未来が賞味期限を迎えた それでも捨てられなくて ずっと冷やし続けている いつか食べるつもりだった あの日の夢みたいに 冷やし続けている 冷やし続けている 夢みたいに 夢みたいに 捨てられなくて 捨てられなくて さかさま さかさま 風になる 風になる 言葉の種 言葉の種 花になる 花になる 百年後 百年後 呼ぶまで 呼ぶまで 逆さまの観覧車で 名前のない風になる 正しいとか 間違いとか もう少し遠くへ置いて 誰にも理解されない 言葉の種を蒔こう 百年後の誰かが それを花だと呼ぶまで 僕らは静かに 狂っていよう さかさま さかさま クラゲ クラゲ ゆらゆら ゆらゆら 静かに 静かに 狂っていよう 狂っていよう