
➀ シークレットガーデン - Re:spect for E18hteen→N1n9teen -
𝔸𝕀𝕌【𝔸udible 𝕀dol 𝕌niverse】 音楽プロジェクト"𝙇𝙄𝙉-𝙜𝙞𝙧𝙡 𝙉𝙐𝙈𝘽𝙀𝙍𝙎"が描く一大叙事詩 𝔸𝕀𝕌 # 1 - 2 https://suno.com/playlist/e3010b64-485a-4242-98ff-3586926574db 𝔸𝕀𝕌 # 3 - 4 https://suno.com/playlist/3871c55a-839d-49b7-99aa-5b1ac410f705 ↶⇃↧↡↓⇣⇟⇓⇊ 🆂🆃🅾🆁🆈 is below ⇊⇓⇟⇣↓↡↧⇂↷ ───────────────────────────────────────────── 1️⃣ SA1à [Folk-rooted 90s J-Pop Rock,Britpop (B-Gram sound)] PLAYLIST i:.(.à∀à.).:i https://suno.com/playlist/ecff990a-a19c-4e96-b861-204a0337eb70 ⑱⑲ E18hteen→N1n9teen [adult contemporary,glitch electronica, urban music] 「少女と女性のあわい」,「フィメール都市幻想」,「少女を捨て、街に出よう」,「ボーダーラインの詩情」,「アーバンな質感」,「終わってしまった青春」,「18歳→19歳」 PLAYLIST (x⁸→⁹ x) https://suno.com/playlist/cbd7b893-070c-45fc-a39d-44f3847ab08e ⑱⑲ E18hteen→N1n9teen presents 【for SEA20NS】 「18→19の境界を越えて、次の季節へ」「四季をテーマにしたコンセプトアルバム」 https://suno.com/playlist/a782912b-de89-4d2c-b590-f43aabade58f ────────────────────────────────────── 🅻🆈🆁🅸🅲 [Chorus] シークレットガーデン オトナになるのが楽しみで 少女の仮面かぶってさ 心の奥底に隠してるんだ ガーデン...... [Verse] トキメキは ピンクのもやに包まれ 甘くあたたかく ワタシを優しく包むの [pre-chorus] 小さな光が咲いて かすかに薫って消えて まだ誰も知らない ワタシの花 大人になるのを待って みんなに見せるのを待って だから今は見つけないで [Chorus] シークレットガーデン オトナになるのが怖くて 少女の仮面かぶってさ 心の奥底に隠してるんだ [post-chorus] この涙の意味も この笑顔の意味も この心の中も 今はまだ誰にも言わない だってシークレット…… シークレットガーデン [break] [verse] 秘密の夜は ワタシだけのもの だってナイショの オトナの時間なんだもの [pre-chorus] まだ夢の中にいたいのに 朝のチャイムが響いてる まだ夢を覚まさないで お願い オトナになるのを待って みんなに打ち明けるのを待って だから今は起こさないで [Chorus] シークレットガーデン オトナになるのが怖くて 少女の仮面かぶってさ 心の奥底に隠してるんだ [post-chorus] この涙の意味も この笑顔の意味も この心の中も 今はまだ誰にも言わない だってシークレット…… シークレットガーデン [interlude] [instrumetnal] [Bridge] オトナの気持ち わからないよ オトナになりたいかもわからない 背伸びしたワタシの姿は アナタに見せたくない [Chorus] シークレットガーデン オトナになるのが怖くて 少女の仮面かぶってさ 心の奥底に隠してるんだ [post-chorus] この涙の意味も この笑顔の意味も この心の中も 今はまだ誰にも言わない だってシークレット…… シークレットガーデン [Chorus] シークレットガーデン 大人になるのが楽しみで 少女の仮面をぬいでさ アナタのもとへ行くんだ [post-chorus] この涙の意味も この笑顔の意味も この心の中も 今はまだ誰にも言わない だってシークレット…… シークレットガーデン [break] [bridge] 夢の中でワタシはオトナ 秘密の花園 しってるの ピンクのもやに包まれて ワタシを優しく包むの [outro] 都会の片隅に隠されたシークレットガーデン 妖精たちがあどけない少女の心を オトナに仕立てていくような female city fantasy…… ここは今でもシークレット…… シークレットガーデン ──────────────────────────────────── 🆂🆃🅾🆁🆈 JAPANESE only 第四章 𝐃𝐈𝐒𝐂𝐎 vol. 22 2度目のチャイムで、アオイは出た。 「鍵あいてる」 アオイの住んでいるマンションは一駅隣の街にあった。ちゃんと掃除は行き届いているのかと少し不安だったが、扉を開けてまず目に入ってきたのは、下駄箱の脇のからのスリッパ立てだった。下駄箱のうえには財布、リビングまでの廊下にはポシェットがひとつ無造作に置いてあった。 リビングまでの扉に人影が現れて、顔を出した家主は歯ブラシをくわえていた。歯磨き粉のあぶくでしゃべりづらそうに「どうしたの」と訊いてくる。 「財布。こんなところに置きっぱなし」 姉の小言は慣れ切っていると言わんばかりに、アオイは顔の前で手のひらを合わせて軽く振る。アオイが洗面所に入っている間に、サラはパンプスを脱いで財布を掴んだ。 「風邪気味だっていうから寝てるかと思った」 サラはキッチンカウンターにナイロン袋を置く。菓子パン、サラダチキン、栄養ドリンク、ペットボトルの抹茶ラテ。口をゆすいで戻ってきたアオイは差し入れを覗き込んで、「さすが気が利く」と言いながら栄養ドリンクの蓋を開けた。確かに少し喉が嗄れているかもしれない。 「ありがと」 「具合はどう?」 「こんな感じです」 「ひどくはないみたいね。座っていい?」 どうぞ、と言いながらアオイは栄養ドリンクを飲み干した。もう少し嫌がられるかと思って訪れたが、なんだか拍子抜けしたような気分でサラはソファーに腰かけた。ふうと息をついて、マスクを外しながら、久々に訪れた妹の部屋を眺める。 「ごめん。部屋に呼んじゃって」 「全然。喉風邪こじらせたら大変だもん。何年振りかな、アオイの部屋来るの。引っ越してきたとき以来かも」 「そうだっけ。めちゃくちゃ前だね」 「もう少し生活感満載だと思ってた」 「時間できてもさ、掃除ぐらいしかやることなくて」 洗濯カゴから追い出されたような衣服がクローゼットの前に積んであるぐらいで、あとはソファーとテーブルとPCデスク、デスクの脇にはナチュラルカラーのテレキャスターが一本、スタンドに立てかけられていた。いかにも復刻版のような板目調が映えるギターだった。練習用か作曲用か。 14歳からE18hteen→N1n9teen として活動するかたわらで、アオイは少しずつギターの腕を磨いていた。高校時代、バンドに誘われたこともあったという。たった4曲で2年間を乗り切った E18hteen→N1n9teen 活動初期のころだ。フェスに参加した時、プログラムにガールズバンドを見つけると集合時間より早く前乗りして、観客に紛れ込んで聞いたりもしていた。彼女の本当の音楽性が E18hteen→N1n9teen のそれではないことは周知の事実だった。 一方の壁には実家から持ってきたであろう見覚えのあるCDラックがあった。収納されたCDは増えているような気がした。一緒に文庫本やDVD、大判の書籍や雑誌が区別なく並んでいる。『ボイトレ入門』、『ギター・マガジン』、『少女漫画大全集』、『ロック作曲法』、『OPUS』、『時をかける少女』……。 「荒らさないでよ」 平積みのCDへと手を伸ばしたサラに、アオイがくぎを差した。 サラが手に取ったCDは知らないアーティストのものだった。 「昔から聞いてたっけ、こういうの」 見るからにHIPHOPジャンルと思しきCDだった。表には同年代ぐらいの四人の女性が映っている。夜の道路を走るオープンカーに乗っているかのようなジャケット。裏面には大きくロゴが描かれている。psyche。 「サイケ……、人気なの?」 「プシュケ。いや、全然だと思うよ。それ貰い物だし。その一枚しか出してないみたい」 「名刺代わりだものね。私も何枚配ったか分からない」 アオイはカウンターに肘をつきながら、菓子パンを開けて今にも頬張ろうとしている。 「さっき歯磨きしてたんじゃなかったっけ」 「差し入れは早めに頂かないと」 「なんか気遣わせちゃってごめん」 これ以上、部屋の物色を続けるのも気が引けてサラはソファーに戻った。 菓子パンに食いついているアオイを見ながら、今日は何で会いに来たのだっけと自分を問いただした。胸のなかに渦巻いていた疑念は、一晩経ったらどうでもいいことのような気がした。アオイのことを詮索したところで、何かがうまくいくような予感はなかった。 けれども、ミサトが言うように、実の姉妹なのにプライベートな話をする時間が少なかったのも事実だ。 グループを抜けた理由。口にすれば一言で済むことだったが、肝心なのは頃合いだった。今、話すべきだろうか。 「サラ。それで、何かあたしに聞きたいことでもあるんでしょ」 「そう……だったね」 「急にもったいぶるんだね。ミサトさんから聞いたよ。その話じゃなくて?」 先手を取られてしまった。 元々サラはグループを抜ける予定ではなかったこと。サラのソロデビューに感化されて、グループを抜けると言い出したアオイを引きとめず、一緒にグループを抜けたこと。 「なんだ、ミサト話したんだ。そこまでは知らなかった。まぁ、その話は、そう。怒ってる?」 「別に。あー、でも怒って……た、かな。聞いた瞬間は。なんかあたしが悪者にされてるみたいで。でも今はもうどうだっていいよ。あたしはソロになってよかったと思ってる。好きなことできてるし。別に無理して E18hteen→N1n9teen やってたわけじゃあないけどね」 「知ってる。気にしてないならよかった」 「……でも、サラとは一生分かり合えないな、っては思ったよ」 思わず声より目線が先に動いた。アオイは静かにサラを見つめていた。その目に映しているものが実の姉だなんて思えない、そういう目だった。透き通っていて、でも深い感傷と空虚を抱いているかのような目。子供のころからたまに見せる、アオイのいちばん冷静な態度。 「やっぱり怒ってるじゃない」 「怒ってないない。どっちかというと諦め……衝撃?んー、腑に落ちない気持ちはある。どうしてさ、最初から説明してくれなかったの」 悪いとは思っていながら、サラはアオイから目をそらした。自分でも不義理なことをしているな、と思う。これまでも、そして今も。 どこからどこまでを話そうか。すべてがたった一語で終わる話でもない。でも話し始めたらぜんぶ打ち明けることになるだろう。その時間を作ることができなかった。作ろうともしなかった。 「アオイ。私は、あなたに嫉妬してるの」 「嫉妬?」 「私は、今まで何ひとつ自分で決めてこなかった。流れに任せるだけでそこに自分の意思なんてなかった。思い通りにいかないこともない。だって、思ってることなんてないんだもの。すべて成り行きで、思いつきで、どっちつかずで、軽はずみで」 「嘘。そんなふうには見えないよ。サラはいつも先陣切って、みんなのお手本だった。E18hteen→N1n9teen だけじゃない。小さいときからそうじゃん。小学校のときからみんな、先生も友だちの親もみんな、サラを褒めてた。褒めてる記憶しかないぐらい」 「小学校のときか。そうだなあ、私、ゲーム下手じゃない?全然操作できなくてさ。クラスで流行ってたとき、私もねだったことがあった。でも、母さんに言われた。"勉強する時間なくなるよ。水泳とか、習字とか、習い事もいっぱいあるのにやる時間あるの?"って。それもそうだなって思って、私はその年の誕生日、電子辞書買ってもらった。特設合唱部の募集があった。入りたかったけど、陸上部の人数が足りなくて顧問の先生が直接頼みに来た。体育の成績がいい子に片っ端から声かけてるって。私が何番目だったか分からないけど、期間も短かったし、母さんも許してくれたから陸上部に入った。リレーで一位になって、みんなに感謝された。私が入ってくれたからだって。結局、一度も合唱部には入れなかった」 「応援行った気がする。走るのも得意だったもんね。合唱部……そっか。だからか」 「覚えてる?わたしたちだけの合唱部。遊歩道を抜けてさ、茂みの奥の、原っぱ」 「合唱部っていうか……アイドルごっこだったけどね」 そう、実家の裏手にあった里山。 習い事のない日だけ、二人で通ったのだった。 滅多に人の来ない、二人だけの秘密の場所。 秘密のステージ。秘密のリハーサル室。 サラとアオイの物語は、のどかな自然のなかから始まった。

