
けんびきょう の むこうがわ しごと が おわった あと。 わかい いし の せんせい と、けんびきょう を のぞいていた。 けつえきぞう と こつずいぞう の けいたい しどう。 けんびきょう の まえ に すわる と、たちば も かたがき も かんけい なくなる。 そこ に ある さいぼう を、どう よむ か。 それ だけ に なる。 「この さいぼう、どう みえます か?」 わかい せんせい が のぞく。 すこし かんがえる。 そして、また のぞく。 けいたい を よむ という の わ、ちしき だけ で わ なかなか むずかしい。 さいぼう の なまえ を おぼえていても、じっさい の ひょうほん を まえ に する と まよう。 だから、さいしょ から むずかしい さいぼう を あて に いかない。 まず みる の わ、せいじょう さいぼう と の さい だ。 せいじょう と くらべて、なに が ちがう の か。 かく なの か。 さいぼうしつ なの か。 かんりゅう なの か。 せんしょくせい なの か。 おおきさ なの か。 「この さいぼう わ なに だろう」と かんがえる まえ に、 「まわり の さいぼう と、どこ が ちがう んだろう」 と かんがえて みる。 ちがい が みつかれば、そこ から かんべつてん を しぼっていける。 そして、もう ひとつ。 わからない さいぼう を みつける と、つい ばいつ を あげたくなる。 もっと おおきく すれば、なに か わかる き が する。 けれど、わたし わ むしろ ばいつ を さげる。 いっぽ、ひいて みる。 わからない さいぼう だけ を みる の で わ ない。 その さいぼう の まわり を みる。 しゅうい の せいじょう さいぼう と くらべて、しきちょう が どう ちがう の か。 さいぼうしつ の そまりかた が、どこ から かわっている の か。 その へんか を、ていばいつ で かくじつ に とらえる。 おおきく してしまう と、ひとつ の さいぼう だけ が せかい に なる。 ていばいつ に もどす と、その さいぼう が おかれている けしき が みえてくる。 その けしき の なか に、かんべつ の てかがり が ある。 けいたい を みる という の わ、さいぼう を おおきく すること で わ ない。 ひつよう な とき に、いっぽ ひいて みる こと で も ある。 そんな はなし を しながら、また ふたり で けんびきょう を のぞいていた。 その とき、ふと おもいだした。 いぜん、いま わ じゅんきょうじゅ に なっている せんせい と も、おなじ ように けんびきょう を のぞいた こと が ある。 とうじ、その せんせい も けいたい を みる こと に くろう していた。 いっしょ に ひょうほん を みて、 「これ わ なに だろう」 と かんがえる。 まわり の さいぼう と くらべる。 ばいつ を かえる。 また もどす。 そうやって、ひとつずつ かんべつてん を さがしていった。 あの とき、けんびきょう の むこうがわ に いた せんせい が、いま わ じゅんきょうじゅ に なっている。 そして いま、め の まえ に わ、けいたい を まなんでいる わかい いし が いる。 じかん わ ながれた。 たちば も かわった。 けれど、けんびきょう の まえ で やっ てる こと わ、あまり かわらない。 わからない さいぼう を まえ に して、 せいじょう と の さ を さがす。 いちど、ひいて しゅうい を みる。 しきちょう の へんか を とらえる。 そして、かんべつてん を ひとつずつ あきらか に していく。 けいたい を みる という こと わ、 「さいぼう の なまえ を あてる こと」で わ ない の だ と おもう。 ちがい を みつける。 その ちがい を ことば に する。 ポイント そして、その ちがい から かのうせい を ひとつずつ しぼっていく。 けんびきょう の しや わ ちいさい。 けれど、その ちいさな しや の なか に、たくさんの じょうほう が ある。 だから、とき に わ おおきく みる。 そして、とき に わ いっぽ ひく。 それ わ、けいたい を みる とき だけ で わ ない の かも しれない。 しごと が おわった しずかな けんさしつ で、 きょう も ふたり で おなじ ひょうほん を のぞいていた。 かつて じぶん も、だれか と いっしょ に のぞいた けんびきょう を。 こんど わ、べつ の だれか と のぞいている。 いつか じぶん が、この ばしょ から いなくなっても。 きょう、いっしょ に のぞいた この しや が、 いつか だれか の め に のこっていく。 その さき で、ひとつ でも はやく しんだん に たどりつける の なら、 わたし わ それ で いい。 そんな こと を かんがえながら、 もう いちど、けんびきょう の しや に め を もどした。

