その刃は 血を知らず 風に触れ 木を断つ 折れた枝の 痛みさえ 静かに 聞くように 握る手は 震えても 振るうためではなく 迷い絡む この心を ほどくために 構える 捨てられずにいた感情 抱えすぎた 重さを 否定せず 逃げもせず 一線を 引くだけ 花刀 斬るためじゃない 生かすための 一太刀 心を殺さず 心を立てるために 花刀 傷は残っても その跡に 花は立つ 奪わずに 選び取れ これが 生むということ 怒りさえ 根を張れば 形を持つ 想いになる 悲しみも 恐れも 切り落とさず 向きを変え 何もかも 抱えれば 美しさは 濁る だから今 余分だけ 静かに 断ち落とす 強さとは 声じゃない 耐えることでもない 迷いの中で 自分に 刃を向ける 覚悟 花刀 叫ばなくても 世界は 変えられる 一太刀の 静けさが 未来を 分けてゆく 花刀 壊さぬように それでも 逃げぬように 心の芯を 残して 他を 断つだけ 切れぬ想いも あるだろう 切れば 失うものもある それでも 整えねば 花は 立たぬ 血の代わりに 時間を払い 涙の代わりに 意味を残す この刃は 生のために 振るわれる 花刀 斬ることで 生まれる かたちがある 混ざり合う 感情に 輪郭を 与える 花刀 今日もまた 心を 活けてゆく 終わらせるためじゃない 始めるための 一太刀 刃を置き 花を見る その沈黙こそが 生きている 証