
世界征服は足元から
「世界征服は足元から」 我が野望は 世界征服であると 宣言する 散乱する衣服は 未明に蜂起した 反乱軍と見なせ 踏み場なき床を 未開の大地として 記録せよ 進軍の号令は鳴った なにごとも 足元が肝心である 苦戦の末 反乱軍を洗濯カゴへと 押し込むことに成功した 視界がひらけた 今こそ我が旗を掲げる 好機である 我が世界征服は 混沌たる六畳間より 始まるのである 散乱せる物共を 鎮圧せよ 塵ひとつとて見逃すな 秩序を掌中に収めるまで 掃除機を放すことは 許されぬ 一歩を積み重ねよ 征服者は日々の戦果にて 鍛えられる クローゼット内部は 長年封印されし 禁域である 長く放棄された遺物群を 分類せよ 過去に呑まれるな 思い出の箱に絆されるな 情に訴える ワナであると心得よ この混沌を突破してこそ 真の征服者と なれるのである 勝利しつづけるたびに 我が心にも 秩序が芽生えるのだ この進軍は必然である もはや後退の 選択肢は存在せぬ 征服とは勢いではない 継続こそが覇道を 貫く刃である 世界は一挙に奪えぬ ゆえに一歩を 極めるのだ 怠惰を斬り捨てよ 絶望に挫けぬ 強き意思をもて 進軍をとめること それすなわち 敗北であると知れ 真に制すべきは 見えざる強敵 我が心の弱さである 征服とは外界のみならず 己を律する 道でもあるのだ 我が征服は ついに六畳間のすみずみまで 到達したのである 残存する混沌は 掃討された 勝利の勝ち鬨をあげよ しかし これが終わりではない ここからが始まりなのだ 征服とは 領域を広げ続け 己の在り方を 示す行いである ゆえに宣言する 次の目標は 難攻不落の 台所である

