
「本当の君はまだ冷たく濡れていた…」 雨音が揺れ動く 離れてく君の声 濡れる度にあの夜を思い出す 繰り返す囁きも 緩やかに解けていく これ以上泣くのなら 「消えて…」 流れに従う君が真夜中に昂ぶる 未来は露と落ちた 過去の思い出を包んで 絡まった口唇から 夥しい言葉が泥濘の雫を 拾い集めていた 記憶の片隅で溺れる悲しい恋心 二つの色で悩んだ理想を塗り替える為 雨を終わらせても 結ばれる事は無いのに 本当はまだ少し 「悔やんでる」 純潔の爪先まで浸っていたかった 私の横で笑う君とずっと居たい 短い命なのに驟雨が邪魔する もう少しこの時間を 浴びていたいのに 最後の夜は濁って湿って 無様に綺麗に足掻く君を 笑顔で見つめている私に 「離さないで…」と 呪いのように喚き散らした 私の最初の夜を奪い取った君は 幸せそうな顔で寄り添う 叢時雨と気付かず 出会ってしまった君との 覆水を元に戻したくて 離れたくなくて 君と濡れた指先を絡めても 約束の証はもう… 従うだけなら生涯を ここで天泣と生きていたい 二人で水浸き逝くまでは… 「雨は降り続けている…」

