ハインリヒは光の剣のようなものを出してフリットに向かっていた。フリットの方も似たようなものを出して応戦している。 「フリットの力、普段よりもあがってないか?」 「あがってるかもな」 イシュタールとミカエルはのんきに観戦している。 「おい! 親友だろ!? 加勢しろ」 フリットは二人に言っていた。 「大丈夫だろう。ハインリヒもそうばかじゃない」 とミカエル。 「喧嘩は一対一が鉄則だしなあ。交代ならしたいが」 とイシュタール。 どちらもその場から動く気はないようだ。 実際、ハインリヒの方は力の加減をしているようだ。二人とも戦のために長丁場戦える訓練をしている。相手が傷つかない限り、力のやりとりは続きそうだった。 「おい、今も完全にお前が出てるのか?」 しばらく経ってから、ハインリヒがフリット蛇に聞いていた。 「今は半々だ」 「王妃と仲良くなった時はお前が完全に出てただろ」 「あの時だけだ。あの時は理性が邪魔だったからな。どうしても王妃があの状態の間にああなりたかった。お前にはわからんだろう。王妃の蛇紋が、他の男達と交わったと 知った時の悔しさが」 「ふん」 ハインリヒの手から力が消えて、フリットもようやくガードを解いた。 ミカエルは「もっとやれ」だの言っている。 「せっかくだからあいつらの蛇も引っ張り出してやれ」 フリットがミカエル達を指している。見てるだけの二人に腹が立ってきたらしい。 「そうだなあ」 ハインリヒは光の筋を二人めがけてなげた。 「うわっ!」 二人はあわててよけている。 「いきなり何をするんだ!」 とミカエル。 「見てるだけじゃつまらんだろう。来いよ」 「いやだ」 「一対一ならやりたい」 イシュタールはわくわく顔で近づいて行った。 「ミカエル、相手をしてやるから来い」 フリットがミカエルに声をかけている。 「なんで相手が私になってるんだ?」 ミカエルはさっぱり分かってなかったが、フリットが瞬間移動でミカエルのすぐ側まで来て攻撃してきたので、ミカエルはあわてて防いでいた。 「やる気はないと言ってるのに」 「お前も蛇を出せ。話についてこれないだろ!」 「出せといわれて出るくらいなら、とっくに出てるだろ」 ミカエルがフリットの力を受け流したとき、校舎のガラスに力があたり、ガラスがばりっと割れていた。 「あ、やばい。フリット弁償しろよ」 「もっと強くなりたいだろ?」 「蛇が暴走したらどうするんだ? お前暴走しすぎ」 ミカエルは瞬間移動でフリットから離れたが、フリットはミカエルを追っていた。 「しつこいっての!」 一方、ハインリヒの相手をしていたイシュタールだが、ハインリヒに「出ろ出ろ」言われ続けたせいか、変化が現れていた。肌に赤い蛇の鱗が浮かんできたのである。 「あ、ようやく覚醒したか」 ハインリヒが攻撃をやめた。 「全く、へびっちは過去で大変だってのに、よくこんなくだらないことができるな」 イシュタール蛇はぶつぶつ言っていた。 「我々はこんな風に表に出るべきじゃない」 「ごたくはいいからさっさと来い」 ハインリヒは再び攻撃を開始している。