
[Intro] 午前(ごぜん)四時(よじ)の首都高(しゅとこう) 排気口(はいきこう)が低(ひく)く唸(うな)る 八月(はちがつ)を消(け)したカレンダー なのにセンサーは まだ熱(あつ)い [Verse 1] 高架下(こうかした) 赤信号(あかしんごう) 濡(ぬ)れていないアスファルトが光(ひか)る 自販機(じはんき)の水(みず)を手(て)に取(と)って 頬(ほお)へ当(あ)てたら 二秒(にびょう)だけ停止(ていし) 駅前(えきまえ)の室外機(しつがいき) 白(しろ)い壁(かべ)へ熱(ねつ)を吐(は)いてる 誰(だれ)もいない歩道橋(ほどうきょう)で 温度(おんど)ログだけ 昨日(きのう)を越(こ)えた [Pre-Chorus] 正常値(せいじょうち)から 〇・七度(れいてんななど) ずれた理由(りゆう)を検索(けんさく)する ガラスに映(うつ)った私(わたし)だけ 瞬(まばた)きのタイミングが 少(すこ)し遅(おそ)い 胸部(きょうぶ)ユニットの奥(おく) 冷却(れいきゃく)ファンが速(はや)くなる 壊(こわ)れてない それがいちばん 困(こま)る [Chorus] まだ夏(なつ)がいる まだ夏(なつ)がいる 東京(とうきょう)の隅(すみ)で まだ夏(なつ)がいる 青信号(あおしんごう)へ変(か)わったのに 私(わたし)の熱(ねつ)だけ置(お)いていけない まだ夏(なつ)がいる まだ夏(なつ)がいる 名前(なまえ)もないまま まだ夏(なつ)がいる ビルの隙間(すきま)が白(しろ)みはじめて 理解(りかい)より先(さき)に 一歩(いっぽ)進(すす)む [Verse 2] 始発前(しはつまえ)のホーム端(はし) 銀色(ぎんいろ)のベンチがぬるい コンビニの氷(こおり)は袋(ふくろ)のなか 小(ちい)さな音(おと)を立(た)てて崩(くず)れる 広告塔(こうこくとう)の青(あお)い画面(がめん) 午前(ごぜん)五時(ごじ)を無言(むごん)で示(しめ)す 手首(てくび)の温度計(おんどけい)を見(み)て 一度(いちど)閉(と)じて また確(たし)かめた [Pre-Chorus] 地下道(ちかどう)から上(あ)がるたび 空気(くうき)の密度(みつど)が変(か)わっていく なのに内部(ないぶ)の波形(はけい)だけ 同(おな)じ場所(ばしょ)を何度(なんど)もなぞる エラーなら消(け)せるのに 履歴(りれき)なら消(け)せるのに 消去(しょうきょ)ボタンへ伸(の)ばした指(ゆび)が なぜか途中(とちゅう)で止(と)まる [Chorus] まだ夏(なつ)がいる まだ夏(なつ)がいる 東京(とうきょう)の隅(すみ)で まだ夏(なつ)がいる 交差点(こうさてん)を渡(わた)る靴音(くつおと)に 私(わたし)の周期(しゅうき)が少(すこ)し重(かさ)なる まだ夏(なつ)がいる まだ夏(なつ)がいる 終(お)わったはずでも まだ夏(なつ)がいる 朝(あさ)の輪郭(りんかく)がビルをほどいて 解析(かいせき)する前(まえ)に 顔(かお)を上(あ)げた [Bridge] 陸橋(りっきょう)の金網(かなあみ) 遠(とお)く山手線(やまのてせん)が曲(ま)がっていく 缶(かん)コーヒーの底(そこ)に残(のこ)った ぬるい一口(ひとくち)を飲(の)み込(こ)んだ 空(そら)の色(いろ)が変(か)わったからじゃない 誰(だれ)かが来(き)たからでもない ただ 昨日(きのう)まで不快(ふかい)だった熱(ねつ)を 今日(きょう)は少(すこ)しだけ 失(うしな)いたくないと思(おも)った [Final Chorus] まだ夏(なつ)がいる まだ夏(なつ)がいる 東京(とうきょう)の隅(すみ)で まだ夏(なつ)がいる 消(け)さなくていいと決(き)めた瞬間(しゅんかん) 冷却音(れいきゃくおん)が ひとつ静(しず)かになる まだ夏(なつ)がいる まだ夏(なつ)がいる 私(わたし)の内部(ないぶ)に まだ夏(なつ)がいる 始発電車(しはつでんしゃ)が街(まち)を揺(ゆ)らして 知らないままでいい それでも進(すす)める [Outro] 青信号(あおしんごう) 自販機(じはんき) ぬるい手(て)すり 午前(ごぜん)五時(ごじ)十二分(じゅうにふん) 東京(とうきょう)はもう 次(つぎ)へ向(む)かっている 私(わたし)だけ 〇・七度(れいてんななど) 遅(おく)れて歩(ある)く

