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月影同心 - 影、月に届かず -

月影同心 闇を往け 影のまま 月には届かぬ この身なら 斬れば斬るほど 夜は深い 救えぬ正義を 背に負って 黒き羽織の 裾ひるがえし 橋のたもとに 風が鳴る 名もなき御用を 胸に隠して 灯らぬ路地へ 足を入(い)る 人を救うと 誰が言う 斬ったこの手は 白くない 月を仰げど 届きはせぬ 影は影ゆえ 闇に立つ 闇を往け 影のまま 月には届かぬ この身なら 斬れば斬るほど 夜は深い 救えぬ正義を 背に負って 名などいらぬ 誉れもいらぬ 川面に捨てよ 涙まで 明け六つ前に 影と消えよ 朝を知らない 刃となれ 朱塗りの門には 笑う悪 蔵の奥には 泣く声よ お上の裁きが 届かぬ夜に 裏の御定め 影が行く 情けひとつで 鈍る刃 されど鬼にも なりきれず 月なき空を 見上げても ただ黒き雲が 胸を裂く 闇を往け 影のまま 月には届かぬ この身なら 斬れば斬るほど 夜は深い 救えぬ正義を 背に負って 涙は捨てよ 慈悲さえ捨てよ 恨みも川へ 流し去れ 明け六つ前に 影と消えよ 朝を知らない 刃となれ 月影同心、心得の条。 月ある夜は、影に生くべし。 月なき夜は、闇に沈むべし。 誉れを求むるなかれ。 名を残すなかれ。 救いを望むなかれ。 我ら影なり。 月を仰げど、届くことなし。 月影同心 闇を往け 影のまま 月には届かぬ この身なら 斬れば斬るほど 夜は深い 救えぬ正義を 背に負って 夜を裂け 影のまま 名もなき刃に 月が哭く 誰にも知られず 朝を呼べ 己は闇へと 沈みながら 闇を往け 影のまま 月には届かぬ この身なら 斬れば斬るほど 夜は深い 救えぬ正義を 背に負って 影は消えゆく 月は遠く 明けぬ御用の 鐘が鳴る