
靴ひもが毎朝違う方向へ連れていく
作詞:トヨルック様(@toyolook) #リリックガチャ 靴ひもが 朝を曲げる 玄関先で 勝手にほどける 右へ行くはずの 私の足を 知らない角へ 連れていく 急いでいると 言っているのに 結び目だけが 聞いていない いつもの道を 避けるみたいに つま先だけが 反抗した 靴ひもが 朝を曲げる 駅とは逆へ 歩かせる 遅刻の理由を 考えながら 空の青さに 気づいてしまう 靴ひもが 朝を曲げる 予定表には ない方角へ まっすぐ生きる つもりだったが 足元だけは 自由だった 昨日の失敗を 踏まないように 同じ道ばかり 選んでいた 安全という名の 古い地図には 小さな花屋が 載っていない 信号の前で またほどけて 私はしゃがんで 息をした 立ち止まるのが 下手な私を 靴ひもだけが 止めてくれた 靴ひもが 朝を曲げる 結び直せば 少し変わる 強く締めれば 痛くなるから 今日はゆるめに 歩いてみる 靴ひもが 朝を曲げる 迷子みたいな 顔をして 本当はずっと 行きたかった 路地の匂いを 思い出させる 誰かの正解へ 向かうたび 足首あたりが 苦しかった ほどけた紐を 責めていたけど ほどけたから 見えるものもある 会社の手前で また遠回り 自販機横の 猫があくびする それだけのことが なぜか今日を 少しだけまだ 続けさせた 靴ひもが 朝を曲げる 私は少し 笑ってしまう 予定どおりに 行けない日にも 道そのものは 消えていない 靴ひもが 朝を曲げる 未来はいつも 斜めに来る 結び目ひとつ 頼りないまま それでも足は 前を向いた 夕方になって 靴を脱ぐと 紐は静かに 眠っていた 今日の寄り道を ほどいてみれば 悪くない傷が 残っていた 明日の朝も たぶんまた 靴ひもは勝手に 地図を変える 困ったふりで 玄関に立ち 私は少し 期待している


