
冷蔵庫の奥で 夏が冬眠中 賞味期限は 紀元前 真夜中二時に 胡椒を振れば くしゃみひとつで 砂漠が咲いた お皿の上には 小さな市長 パセリの森から 立候補 「今夜の月曜 廃止します」 やけに拍手のうまい海老 カラカラ カラダが 空っぽなら からし色した 風を詰めろ サラサラ サラダに さらわれた 昨日の私を 取り返せ あらら 裏返れ 月のおなかを くすぐって あらら 裏返れ 涙が空へと 落ちてゆく 好きよ あなたの名前を噛むたび 知らない果実の 味がする 嫌い と言った唇だけが 勝手にあなたへ 歩いてく 市場で買った 中古の夕焼け 広げてみたら 穴だらけ そこから誰かの 笑い声 おまけに巨大な 蝶の脚 値切って千円 ちぎって半分 縫い目に塩振りゃ 海になる 泳げないけど 溺れもしない 私は今夜の 浮遊物 タタタ 畳んだ たぶんの話 パパパ 破れた ぱぴぷぺ予報 晴れのち魚 ところにより祖母 傘では防げぬ 投げキッス ねえ 静かにして いま 骨の中で 花が開く音がした あらら 裏返れ 夢の底には 窓がある あらら 裏返れ 開ければ誰かの 昼休み 好きよ あなたが忘れた言葉を 鉢植えにしたら 棘が出た 痛い それでも毎朝 水をやる 花の名前は まだ決めない 一段飛ばして 二段目なくして 三段目からは 非常口 逃げても逃げても 厨房でした 炒めるほかない この気持ち 焦げつけ 情熱 煮崩れ 運命 盛りつけだけなら 満点ね ひとくち食べたら ふたりとも 初めての顔で 黙り込む ……おいしい? 世界が止まった その隙に あなたの小指を 予約した 明日が売り切れだったなら 今夜を薄めて 分けましょう あらら 裏返れ 月のおなかに 耳を当て あらら 裏返れ まだ見ぬ朝の 音を聴く 好きよ あなたの名前を呼ぶたび 私の季節が ずれてゆく ずれて はみ出たところで 踊りましょう 誰にも切り取れないように あらら 裏返れ あらら 裏返れ 冷蔵庫の奥で 夏が目を覚ます あなたのぶんまで 麦茶を淹れた

