
――静けさに満ちた、月の図書室―― 頁の音さえ 夢のように 白紙の本が 一冊ぽつり 月光だけが 文字を刻む 「ここは誰も知らない 記憶の墓標」 囁く声が 風のように揺れる 本棚の隙間に 眠る祈り 読まれぬ物語が 静かに泣いた 未来さえ凍る この夜の奥で 前のない姫が 頁をめくる 鏡に映らぬ その瞳の奥に 永遠より深い 忘却がある ああ 私は誰? ここは何処? 白紙の 本に 意味を探して 月だけが知る 孤独の旋律 静寂の中に 歌が生まれる 音のない鐘が 時を告げても 誰も来ぬ扉は ただ 開かない けれど もしあなたが この詩を読むなら 書きかけの未来に 灯がともるでしょう ああ 名もなき物語でも 声にすれば それは息吹 白紙の頁が そっと微笑む 孤月の姫が 目を閉じる ーー図書室に 月が満ちてゆく―― ページが 風に やさしく 舞った……

