
安いグラスに 口紅ひとつ 消さずに置いた 昨夜の続き 名前を呼べば 野暮になるから 知らないふりで 煙を吐いた 似合わないほど 優しい声で 「好き」と言うのは 反則でしょう 冗談だって 笑ってみせた 笑えたのは 最初だけ 時計の針を 見ないふり 氷が溶ける 音を聞く 明日の話は しないまま 今夜の嘘を 飲み干した 純情ごっこ しましょうか 愛してるとか 言わないで どうせ朝には 他人でしょう だったら今夜は 嘘がいい 純情ごっこ もう一度 綺麗なふりは お互い様 抱きしめるほど 安っぽい そんな優しさ 嫌いじゃない 帰る支度を 見ないふり 灰皿ばかり 片づける 引き止め方も 忘れたと 笑って煙草に 火をつける 忘れたはずの 癖ばかり どうして今さら 覚えてる 背中を向けた その人に 似合わない言葉 探してる 鍵を探す 指先を 横目でそっと 追いかける 「またね」の意味を 聞けなくて 吸いかけの煙草が 長くなる 純情ごっこ しましょうか 愛してるとか 言わないで どうせ朝には 他人でしょう だったら今夜は 嘘がいい ……なあ。 今夜くらいは 帰らなくても いいんじゃないか。 純情ごっこ やめましょうか 愛してるって 言いましょうか どうせ朝には 他人なら せめて今夜は 本当がいい 純情ごっこ もう終わり 綺麗なふりも 疲れたよ 抱きしめるほど 安っぽい そんな優しさが 欲しかった ……なんてな。

