
単三電池の退職願 #リリックガチャ
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V6
リモコンの奥で 紙が鳴った 単三電池が 辞表を出した もう無理ですと 震える文字で 残量ゼロの 朝が来る テレビも時計も 黙り込んで 壁の時間が 少し止まる 働きすぎた 銀色の背中 小さな筒が ため息をつく 交換されれば 終わる命と 知っていながら 光っていた 誰にも見えない 暗い場所から 今日の便利を 支えていた 乾電池に もう無理と言われた 私の胸も 少し黙った 頑張れなんて 言えなかった 同じ言葉を 飲んでたから 乾電池に 辞表を出された 止まった部屋で 気づいてしまう 動かすばかりが 生きることじゃない 休む勇気も 電力になる 懐中電灯は 目を閉じたまま 夜の隅っこで 役目を終える 予備の電池が 引き出しの中 次の出番を 静かに待つ 使い切られた そのあとにさえ 捨てるだけでは さびしすぎる 役に立ったと 言える場所まで せめて両手で 運んでいく 乾電池に もう無理と言われた 私の今日も 少し重たい 動けない日を 責めるより先に 切れた理由を 聞いてみたい 乾電池に 辞表を出された 終わりじゃなくて 交換の合図 空になったら 眠ればいいよ また別の光を 探せばいい 新しい電池を そっと入れたら 部屋の時計が 息を返した 古い電池へ ありがとうと言って 私も少し 休むことにした

