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夜と綴る

午前二時 街が句点を打つ まだ僕だけが 文章の途中 灯りの残る 名もない店で 赤い甘さを ゆっくり飲み干して 誰かの正解は だいたい退屈で 綺麗なだけの言葉ほど 信用ならない 「好きです」って? それはどうも で、どこまで読んだんです? 愛を語るなら せめてページを開いてから 笑顔は鞘 言葉は刃 別に抜く気はないんですよ 触れなければ 踏まなければ 僕はいつでも穏やかです たぶんね 夜と綴る 僕の名前を 一枚ずつ 書き換えて 本当なんて ひとつじゃなくていい 嘘じゃない顔が いくつもあるだけ 眠れないなら 朝を待たない 世界が黙る この時間がいい 誰にも読めない 余白を残して 僕は今夜も 夜と綴る Read me right, read me twice Don't praise the cover if you skipped the lines Read me slow, take your time The truth looks better between the lines 散らかった部屋は まあ見なかったことに 生活まで推敲するほど 暇じゃありませんので 捨てる理由より 残す理由が多い それだけですよ 深い意味など―― ……勝手につけないでください 原稿なら一字だって 妥協はしないけれど 自分のことになると どうにも筆が鈍るらしい 雑音は要らない 解釈はご自由に 知らないことなら 僕も知りたい だけど 読みもしないで 分かった顔をするなら その賛辞はどうぞ お持ち帰りください 夜と綴る 僕の輪郭 近づくほど 曖昧になる 名前なんて 栞みたいなもの 挟む場所が 変わればそれでいい 眠れないなら 夜を使い切ろう 誰もいない街 音のない席 冷たいグラスに 甘さだけ残して 僕は静かに 夜と綴る Don't mistake silence for kindness. Don't mistake kindness for weakness. You want to know who I am? Then read carefully. Not every blank needs an answer. Not every name needs a face. And some things are beautiful because I chose not to explain them. Tick-tock 午前三時 Click-clack 鍵を叩く 一行 また一行 夜を文字に変えていく Tick-tock まだ眠らない Click-clack まだ終わらない 書けないものほど 胸に残るなんて 皮肉ですね 夜と綴る 僕の名前を 何度だって 書き換えて どれが本当か 選ばなくていい その全部が僕で 全部じゃない 眠れないなら 朝を待たない 世界が目を閉じる この時間がいい それでもページを めくるというのなら どうぞ お好きに 灯りが消える その瞬間まで 僕は僕を 夜と綴る 午前四時 街が息をする さて もう一行だけ