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乙女よ歩け

V5

黒い森に ひとつ足音 ほどけたリボンが 風に踊る 誰も知らない 古い子守唄が 静かに胸の奥 目を覚ます 「——ここから先は、地図にない道。  それでも行くのか? 乙女よ。」 擦り切れた 白い靴で 廃れた街路 抜けてゆく “いい子”のふりをしたままじゃ 物語の端にも 載れないから 伏せたままの 絵本のページ 結末だけが いつも他人事 閉じ込められた ガラスの姫を 今夜こそ 外へ連れ出したい 祈りじゃなくて これは宣戦布告 涙より先に 足を出して 震える心臓 抱きしめながら まだ見ぬ明日に 刃を向ける 乙女よ歩け 夜を裂いて ほどけた夢さえ マントに変えて 選ばれなかった 名のままでいい 踏み出した一歩が 世界を書き換える 乙女よ笑え 呪いの中で 「終わり」の鐘を 始まりに変えろ 転んだ膝から 物語はじまる 傷こそあなたの 王冠になる 「——怖いなら、ここで引き返してもいい。  だが、その足を止める権利は  誰にもない。」 崩れそうな空の下 ひとつぶの声が 燃え上がる 与えられた祈りを捨てて 自分の呪文を 今 唱える 乙女よ歩け 明日へ向け 終章さえ 書き直せると 信じたその分だけ 空は開くから 闇を蹴り上げて 物語になれ 黒い森に 朝が射して 消えた星たち 再び瞬く 誰も知らない 新しい詩を 今日もどこかで 乙女が紡ぐ