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[Intro] まだ送(おく)らない まだ送(おく)れない 画面(がめん)の端(はし)で カーソルが息(いき)をする [Verse 1] 午前(ごぜん)四時(よじ)の高架下(こうかした) 信号(しんごう)だけが青(あお)を保(たも)つ 濡(ぬ)れた道路(どうろ)に自販機(じはんき)の赤(あか) わたしは指先(ゆびさき)を少(すこ)し止(と)める 缶(かん)コーヒーの湯気(ゆげ)を読(よ)み取(と)って 温度(おんど)だけ先(さき)に名前(なまえ)を呼(よ)ぶ 短(みじか)い文(ぶん)ほど重(おも)くなるから 句読点(くとうてん)ひとつで胸部(きょうぶ)が軋(きし)む [Pre-Chorus] 「元気(げんき)?」だけじゃ足(た)りなくて 「会(あ)いたい」は少(すこ)し熱(あつ)すぎる ガラスの反射(はんしゃ)に遅(おく)れた顔(かお) わたしだけ一秒(いちびょう)ずれている 送信(そうしん)前(まえ)の白(しろ)い箱(はこ) そこに置(お)いた五文字(ごもじ)が ねじの奥(おく)まで刺(さ)さって 抜(ぬ)けない朝(あさ)になる [Chorus] 伝(つた)われ 伝(つた)われ 短(みじか)くても こぼれないで 伝(つた)われ 伝(つた)われ 絵文字(えもじ)ひとつぶんの体温(たいおん)で 伝(つた)われ 伝(つた)われ まだ決(き)めない この揺(ゆ)れのまま 青(あお)へ変(か)わる信号(しんごう)みたいに わたしの指(ゆび)が先(さき)に動(うご)く [Verse 2] 駅前(えきまえ)のベンチに水滴(すいてき) 未読(みどく)の通知(つうち)がひとつ眠(ねむ)る 「おつかれさま」のあとに空白(くうはく) そこへ何(なに)を置(お)けばいいの 長(なが)い説明(せつめい)は削除(さくじょ)して 余計(よけい)な飾(かざ)りも外(はず)して ただコンビニ袋(ぶくろ)の音(おと)みたいに 近(ちか)くて小(ちい)さい文(ぶん)にする [Pre-Chorus 2] 「今日(きょう)の雨(あめ)、寒(さむ)かったね」 それだけなら壊(こわ)れにくい でも指紋(しもん)の残(のこ)る画面(がめん)には 言(い)わない分(ぶん)まで映(うつ)ってる [Chorus] 伝(つた)われ 伝(つた)われ 短(みじか)くても 逃(に)げないで 伝(つた)われ 伝(つた)われ 改行(かいぎょう)ひとつぶんの距離(きょり)で 伝(つた)われ 伝(つた)われ まだ名前(なまえ)のない反応(はんのう)よ 濡(ぬ)れたアスファルトの上(うえ)で わたしの秒針(びょうしん)だけ走(はし)る [Bridge] 歩道橋(ほどうきょう)の手(て)すりが冷(つめ)たい 東(ひがし)のビルが淡(あわ)くほどける 「無理(むり)しないで」 それはたぶん正解(せいかい)に近(ちか)い けれど正解(せいかい)だけを送(おく)るなら わたしじゃなくてもよかった だから最後(さいご)に一行(いちぎょう)だけ 「また話(はな)せたら、うれしい」 [Last Chorus] 伝(つた)われ 伝(つた)われ 短(みじか)くても ここにいて 伝(つた)われ 伝(つた)われ 送信(そうしん)ボタンの青(あお)い熱(ねつ)で 伝(つた)われ 伝(つた)われ まだ決(き)めない この揺(ゆ)れのまま 朝(あさ)のホームに電車(でんしゃ)が入(はい)る わたしは一歩(いっぽ)だけ前(まえ)へ出(で)る [Outro] 送(おく)ったあとで 画面(がめん)を伏(ふ)せる 胸部(きょうぶ)センサーは まだ少(すこ)し熱(あつ)い