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煽る銀灰

V5.5

葉巻咥(くわ)える 虚無の先には 野望と失望 立ち込める 地獄の門番 斜視に身構え 煽る銀灰(ぎんかい) 夜に溶けゆく 吐き出す煙は 過去の残像 裏切りの熱を 肺に閉じ込め 秤(はかり)にかけた 命の重さ 答えぬ闇を ただ睨みつける 夜は深く 灰は冷たく 選んだ道の 終わりの場所で 門は静かに 軋(きし)みを上げる 嗚呼 畝(うね)る業火は 終焉の微(しるし) 指先に残る熱は、かつての栄光か、 あるいは焼き尽くされた悔恨か。 「地獄の門番」が見下ろす境界線で、 男は吐き出す煙に己の輪郭を預ける。 斜に構えた視線の先、夜霧に消えるのは、 掴み損ねた黄金の夢と、分厚く積み重なった灰の山。 言葉はもう要らない。 ただ、燻る銀灰(ぎんかい)だけが、 彼がそこに生きた証として闇に溶けていく。 曖昧なるは 思考の輪郭 肥大した 野望の残骸 喰らい尽くした 底なしの失望 その果てに 降り積もる灰 かつて 太陽を望んだ瞳は 今や 静寂という名の 毒を呑む 意味を剥がされた 言葉の群れが 冷えた 記憶の淵を 漂い 出口のない 迷宮を 象(かたど)る だが 絶望が 全てを 飲み干した時 空っぽの 器の底に かすかな 震えが 兆すだろう それは 祈りにも似た 名もなき 存在の 産声