
[Intro] 午前(ごぜん)零時(れいじ) スタジオの裏口(うらぐち) 赤(あか)いランプが消(き)えて 録音機(ろくおんき)だけ まだ起(お)きてる 靴底(くつぞこ)で 白線(はくせん)をひとつ踏(ふ)む カチ カチ カチ 信号(しんごう)が 誰(だれ)もいない道(みち)を数(かぞ)えてる [Verse 1] コンビニの冷蔵庫(れいぞうこ) 低(ひく)い音(おと)で唸(うな)ってる 閉(し)まりかけのシャッター 金属(きんぞく)の擦(す)れる音(おと) 交差点(こうさてん)の向(む)こう タクシーが一台(いちだい)曲(ま)がる ウインカー 二回(にかい) 三回(さんかい) その隙間(すきま)に 誰(だれ)かの咳(せき)が入(はい)った イヤホンはしてない 今夜(こんや)はそのまま聴(き)きたい 名前(なまえ)のない音(おと)ほど 消(き)えるのが早(はや)いから [Pre-Chorus] 踏切(ふみきり)が鳴(な)る 遠(とお)くで 自転車(じてんしゃ)のベル マンホールの上(うえ)を スニーカーが叩(たた)く 別々(べつべつ)だったはずなのに 四(よっ)つ 八(やっ)つ 十六(じゅうろく) 気(き)づけば全部(ぜんぶ) 同(おな)じ場所(ばしょ)にいる [Chorus] ぜんぶ 同(おな)じ脈(みゃく) ぜんぶ 同(おな)じ脈(みゃく) 電車(でんしゃ)も 足音(あしおと)も 私(わたし)の呼吸(こきゅう)も ぜんぶ 同(おな)じ脈(みゃく) ぜんぶ 同(おな)じ脈(みゃく) 街(まち)は大(おお)きな身体(からだ)みたいに 午前(ごぜん)零時(れいじ)を吸(す)い込(こ)んだ 私(わたし)が街(まち)を 聴(き)いていたんじゃない 街(まち)のほうが 私(わたし)を鳴(な)らしていた [Verse 2] 高架下(こうかした) 濡(ぬ)れたアスファルト 青(あお)い自販機(じはんき)が 小銭(こぜに)みたいに光(ひか)ってる 缶(かん)コーヒーを一本(いっぽん) 買(か)わずに通(とお)り過(す)ぎる 右手(みぎて)の録音(ろくおん)ボタン 親指(おやゆび)だけが迷(まよ)ってる 止(と)めれば ただの夜(よる)になる 残(のこ)せば もう戻(もど)れない夜(よる)になる さっきまで 他人(たにん)だった雑音(ざつおん)が ひとつずつ 私(わたし)の中(なか)へ入(はい)ってくる [Pre-Chorus] 排気口(はいきこう)の低音(ていおん) 階段(かいだん)を 駆(か)け下(お)りる靴(くつ) 遠(とお)くの救急車(きゅうきゅうしゃ)が 細(ほそ)い線(せん)を引(ひ)いていく 知らない人(ひと)の笑(わら)い声(ごえ) それさえ 拍(はく)の中(なか) 誰(だれ)も合わせてないのに どうして ずれないんだろう [Chorus] ぜんぶ 同(おな)じ脈(みゃく) ぜんぶ 同(おな)じ脈(みゃく) エアコンも 改札(かいさつ)も 私(わたし)の歩幅(ほはば)も ぜんぶ 同(おな)じ脈(みゃく) ぜんぶ 同(おな)じ脈(みゃく) 街(まち)は見(み)えない胸(むね)の奥(おく)で 何千個(なんぜんこ)もの夜(よる)を打(う)つ 私(わたし)が街(まち)を 聴(き)いていたんじゃない 街(まち)のほうが 私(わたし)を鳴(な)らしていた [Bridge] 録音(ろくおん)の波形(はけい)を 画面(がめん)で見(み)る 小(ちい)さな山(やま)が 何百個(なんびゃっこ)も並(なら)んでる トラック 笑(わら)い声(ごえ) 踏切(ふみきり) ヒールの音(おと) どれが私(わたし)か もう分(わ)からない それでいい たぶん 最初(さいしょ)から 分(わ)ける必要(ひつよう)なんて なかった あなたがいなくなった夜(よる)だけ 街(まち)の音(おと)が大(おお)きすぎた [Break] ピッ 録音(ろくおん)停止(ていし) 一秒(いちびょう)だけ 完全(かんぜん)に静(しず)かになる ――ような気(き)がした 次(つぎ)の瞬間(しゅんかん) 冷蔵庫(れいぞうこ) エンジン 信号(しんごう) 足音(あしおと) また 動(うご)き出(だ)す [Final Chorus] ぜんぶ 同(おな)じ脈(みゃく) ぜんぶ 同(おな)じ脈(みゃく) 知らない声(こえ)も 遠(とお)い電車(でんしゃ)も 私(わたし)の沈黙(ちんもく)も ぜんぶ 同(おな)じ脈(みゃく) ぜんぶ 同(おな)じ脈(みゃく) 誰(だれ)かが眠(ねむ)る 誰(だれ)かが走(はし)る その全部(ぜんぶ)を乗(の)せたまま 街(まち)は止(と)まらない 私(わたし)が街(まち)を 聴(き)いていたんじゃない 街(まち)のほうが 私(わたし)を鳴(な)らしていた ぜんぶ 同(おな)じ脈(みゃく) ぜんぶ 同(おな)じ脈(みゃく) [Outro] 午前(ごぜん)一時(いちじ)十二分(じゅうにふん) 録音機(ろくおんき)を コートのポケットに入(い)れる 信号(しんごう)が 青(あお)に変(か)わる 一歩(いっぽ) また一歩(いっぽ) 私(わたし)も その中(なか)にいる

