
ブラインドの隙間から 朝が忍び込む 巻き戻せない夜が また積もっていく 空き缶が並んでる 整列するみたいに 俺だけが崩れてく その真ん中で このシャツ何日目だ もう覚えてない 鏡の中の男が 少しずつ削れてく お前は静かに来る 足音も立てず 息ひとつで壊れる男を 知ってるみたいに 昔はドアを開けてやれた お前の手を握っていられた 今じゃ何ひとつ掴めやしない この指が震えるだけで こんな奴は もう放っておけよ お前が好きだった俺は もういないんだ 優しくする方法 この手が忘れた 帰り道さえ この胸が忘れた なのになんで まだそこにいるんだよ コーヒー持って その目で見つめて 行かせてくれって 何度も言ってる 頼むから どこにも行くな 午前三時 闇が這ってくる 聞こえるんだ 誰かの声が 目が覚める前に お前を探してる やめられない 癖みたいに お前の胸に額を押しつけて 心臓の音だけが 恐怖を止める 強く抱きすぎてる わかってる 夢みたいに消えそうで 怖いんだ 昔のこの男は 笑えたんだ 明日の話が できたんだ そいつはもう 手の届かない場所 煙と眠れない夜の 底に沈んだ こんな奴は もう放っておけよ お前が好きだった俺は もういないんだ 優しくする方法 この手が忘れた 帰り道さえ この胸が忘れた なのになんで まだそこにいるんだよ コーヒー持って その目で見つめて 行かせてくれって 何度も言ってる 頼むから どこにも行くな たまに 陽がちょうどよく差して お前がくだらないことで笑うとき 感じるんだ 壁にひびが入るのを 俺なんかが感じていい温もりじゃないのに 行くな――行くな 独りにしないでくれ いつもと真逆のこと言ってる わかってる でもお前だけが俺の こんな壊れた男 もう放(ほう)っておけよ 口じゃそう言い続けてるくせに この手が勝手に お前を探してる 散らかった床の向こう お前には全部 バレてるんだろ いるんだろ――まだいるんだろ――いてくれるんだろ なんで俺が生き残ったのか わからない でも――お前がその理由かもしれない ブラインドの隙間から 朝が忍び込む まだ いるんだな まだ ここにいるんだな

