交差点で 運命が右折禁止になる 行きたかった道に 標識が立つ 矢印ひとつで 人生までも まっすぐ行けと 命令された 右へ曲がれば 会える気がした あの日の君や 別の私に だけど白線は 知らない顔で タイヤの夢を 踏ませてくれない 交差点で 運命が右折禁止になる 赤い丸だけ やけに正しい 間違えたくて ここまで来たのに 正しさだけが 先回りする 交差点で 運命が右折禁止になる 迷う自由も 規制されてる ウインカー出した 心の音が 誰にも届かず 点滅してた 後ろの車が 軽く鳴らした 早く進めと 急かすみたいに 私の中の 古い後悔も クラクションみたいに 響いていた ナビは無言で ルートを変える 感情なんか 計算しない 再検索中の 冷たい文字に 少しだけ救いを 見つけてしまう 交差点で 運命が右折禁止になる 行けない道が 増えただけで 終わりみたいに 思ったけれど 世界はまだ 左にもある 交差点で 運命が右折禁止になる 直進だけが 残されたなら 進むしかない その乱暴さを 今日は少しだけ 借りてみる 会いたかった場所 戻りたい時 全部が右に あったとしても 曲がれないから 失うんじゃなく 曲がれないから 見える道もある 青になったら 足が動いた ハンドルを握る 指が震えた 泣きたいほどに まっすぐな道を 私は私で 走り出した 交差点で 運命が右折禁止になる 運命なんて 意外と雑だ 大事な角を 封鎖しておいて 別の景色へ 放り投げる 交差点で 運命が右折禁止になる それでも空は 広かった 右に曲がれない 私の上で 雲は勝手に 形を変えた ずっと右だけ 見ていたせいで 左の花屋に 気づかなかった 信号待ちの 短い時間 知らない匂いが 胸に入った 交差点を越え 少し走ると ナビが新しい 道を告げた 予定と違う 未来だけれど 悪くないかもと 息を吐いた