
才能ごみは収集対象外で #リリックガチャ
ゴミ箱から 才能が這い出す 丸めた紙を 頭に乗せて もういらないと 決めたはずなのに 床の上まで 戻ってきた ふたを閉めても 内側から カサカサ音が 夜を削る 見なかったことに しようとしたら レシートの裏で 爪を立てた ゴミ箱から 才能が這い出す 燃えるごみの日を 待てなかった 私より先に 諦めることを どうやら才能は 知らないらしい ゴミ箱から 才能が這い出す 汚れた顔で こっちを見る 輝いてないし 美しくない でもまだ少し 息をしている 昔の夢は 腐っていたと 自分に何度も 言い聞かせた 向いてないとか もう遅いとか 袋の口を きつく結んだ だけど隙間から 細い腕が出て 失敗作を 抱えて戻る これも私だと 言いたいみたいに 捨てた言葉を 並べはじめる ゴミ箱から 才能が這い出す 収集車にも 拒まれたらしい これは資源か 粗大ごみかと 朝の道路で 迷子になってる ゴミ箱から 才能が這い出す 役に立つとは まだ言えない それでも捨てたら 部屋が広すぎて 私の影が 薄くなった 才能なんて 呼べるほど 立派なものじゃ なかったけれど しつこく戻る その姿だけは 少しだけ私に 似ていた ほこりまみれの 小さな何かが 机の脚に しがみついてる 使ってくれと 言うでもなく 忘れないでと 震えていた ゴミ箱から 才能が這い出す 私はため息を ひとつ捨てる するとそれまで 這っていたものが ため息を拾い 火種に変えた ゴミ箱から 才能が這い出す 今さらでも 遅くてもいい 新品じゃない手で 拾い上げたら 汚れた分だけ 重みがあった 洗ってもきっと 真っ白じゃない 傷も匂いも 残るだろう でもそのままで 机に置けば 明日の端が 少し埋まった ゴミ箱の底は 空になって 部屋の隅には 朝が来ていた 捨てた才能を 抱えたままで 私はもう一度 紙を広げる

