夜桜

静けさに染まる夜の道 足音がひとつだけ響く 君と歩いた記憶さえ 風に溶けて見えなくなる 触れた指先の温もりが まだ胸の奥で揺れてる 「また会えるよ」って笑った あの日の嘘を信じたまま 夜桜 舞い散る夢の中で 君の名前を呼んでいた 届かぬ想い 花びらに変えて そっと夜に消えてゆく 満ちてゆく月が照らした 置き去りのふたりの時間 言葉より深くかわした まなざしだけ覚えている 止まった季節の片隅で 今も変わらず探してる 遠ざかる背中に手を伸ばす 幻にすがるように 夜桜 切なさ咲かせながら 君の面影 たどってる さよならさえも言えなかったよ 揺れる闇に呑まれてく 夜桜　願いを抱きしめても 叶わぬ夢と知っている それでもまた君に逢いたくて ひとり夜を歩いてる 夜桜　涙を飾る夜に 静かに散ってゆく想い 永遠なんて いらなかった ただ隣にいたかった