頭が地に着く10cm前

｢かちょう！ごちそうさまっしたー！｣ ｢あ、ああ、気をつけて帰ってくれ！｣ （…sigh） [intro,heavy guitar riff] Verse1] 家の雰囲気が変わった ケンカした訳じゃないけど 妻の態度が氷のよう 全く意味が分からない 重い足を引きずるように 家に帰ってくる 「ただいま…」 (もちろん返事はない) 靴下脱ぎ捨て ソファーに服を投げ掛ける テーブルの上には　冷めたカレー ｢メシは食ってきた｣と告げれば そう、とだけ言って妻は 皿を下げる [chorus] いつからこんなになったのか 何が悪い　何が気に入らない 外でメシ食うぐらい良いだろう？ そもそも何不機嫌撒き散らしている 意味が分からない [Verse2] テレビをつける くだらない番組に 思わず笑ってしまう 家にいるんだ何が悪い 数値目標　進捗管理　全員達成 強力なteam building 積極的communication 社内を包む空気は緊迫度を増し 数字と部下の圧に追い回される日々 俺は疲れているんだ 家に帰り解放されるひととき なぜ俺が洗い物を？ 俺が？しなくちゃならない？ おまえの方が時短（じたん）だろ 俺稼いでるし [chorus] いつからこんなになったのか 男が家事を手伝うのはわかるけど 今すぐじゃなくても良いだろう？ だから何？　何を求めているの？ 俺の何が悪い [interlude:] [Verse3,slow,Ballad Part] 妻が静かに泣きだした ポロポロと　涙が落ちるたび 忘れかけていた　いや忘れていた 何かを思い出していた [Sprechgesang:female voice] ｢…私は虎の皮被ったウサギなの。ウサギはかまってもらえないと死んじゃうの…｣ [Break] [Bridge] そうだ 俺は何を見ていたんだ 自分のことでいっぱいで 「俺が」「俺が」ばかり言っていた 今ならわかる 家事を手伝えばいいって事じゃないんだ それで済むことじゃないんだ [Chorus] いつからこんなになっていたのか 本当に必要なのは きみを見ること　きみを理解すること 俺のことをちゃんと伝えること それをしてこなかった 俺が全部悪い 「……なんで、気が付かなかったんだ」 くずれるように　ひざまずき 両手を床につく 「俺さ…ほんとは、職場じゃ強くなんかなくてさ、いつもビクビクしてんだ。どなられるのも、責任押し付けられるのも、ほんと怖い。でも、うちだけは、 って甘えてたんだな。ごめん」 [Outro – Sincere, Soft] 俺を必死で支えてくれたのは この家で無言で動く きみだった ありがとう　そして すまない ！ ほんとうに すまない！ [silence] (ゴンッ！) [END] —