遊園地にて

君が六歳の時 最愛の人は旅立った 突然の別れに 僕は何も見えなくなった 絶望の闇の中で 君の手をにぎりしめ 最後の思い出にと ふたりきりの遊園地 無邪気な笑顔で手を振る君 何度も乗るメリーゴーランド 今日が最期の日とも知らずに 僕の前に駆けて来て言った 「もーいいよ　おとーさん　 おかあさんのとこにいこー」 君のその言葉で 僕は我に帰った 「バカだな、おかあさんがすねちゃうぞ」とおどけた僕 次の瞬間 君は、大声で泣いたね 笑顔の裏に隠した涙 気付いていたんだね 僕を救ってくれたのは君 今は憶えていないと言うけれど 「もーいいよ　おとーさん　 おかあさんのとこにいこー」 君のその言葉に 僕は目を覚ました 君に子どもができたなら みんなで行こう、遊園地 おかあさんの分の チケットもちゃんと買って 笑おう 本当におめでとう