言えなかった秒針

[Verse 1] 午後二時の教室で　蛍光灯が唸る 君の声が　チョークの粉に紛れて消えた 「今じゃないと」って　裏紙に記したのに 鉛筆の芯が　ポキッと折れて　何も言えなかった [Pre-Chorus 1] シャツの袖を爪で掻きながら 風に消えた　未送信の点線 あと一歩　それだけだったのに I just stood still Like a torn reel [Chorus 1] これはたぶん　予告編 フィルムが回る前の　真っ白 笑い声の裏側で 私の心だけ　こっそり喋ってた [Verse 2] 靴ひもに結んだ　破れた誓い 歩くたびに　君の影が　強くなる 「今日こそは」なんて　もうなんか　嘘くさくて それでも　明日の分まで　願いをためた [Pre-Chorus 2] 手のひらに残った　君の消しゴムの匂い すれ違うたびに　時間がぶれて 視線の速さに　追い越されて I kept tracing The edge of your frame [Chorus 2] ねえ、これって　まだ予告編？ 本編は　いつになったら始まるの？ 気づいてよ、って　心が叫んでる 言葉がないのに　全部ばれてたんでしょ？ [Bridge] 時間は進んでるくせに 私は映写機の針で止まってる 君の笑顔が　スクリーンでぼけていって 「大丈夫」って、誰が決めたの？ But I want you to see This silence rewrites everything [Final Chorus] 「好き」さえ言えないこの一秒 それが世界を　優しく裂き裂けた 震えた指も　逃げた唇も 全部　本編の最初の傷だった [Outro] 「ねえ……続きがあるならさ 　一緒にページめくってよ」